日本の里山、そこに脈々と受け継がれている暮らしは、持続可能な社会のモデルとなりうる、世界に誇れる日本の宝です。しかしながら、若年層の都市部への流出、ライフスタイルの変化などにより、日本の里山とそこでの営みは戦後衰退の一途をたどり、先人たちの培ってきたこの素晴らしい財産が危機に瀕しています。
私たちは、微力ながら、まずは飛騨地域にて、地域の営みを継承するための取組を進めています。
ひだ山村・民家活性化プロジェクト
民家は地域の暮らしの知恵と大工技術の結晶です。そして飛騨地方は、飛騨の匠と呼ばれる腕利きの大工を大和時代から都へ送り込んでいました。私たちが移住先に飛騨を選んだ理由のひとつは、そんな飛騨の匠の技の生きた重厚で美しい飛騨民家に惚れ込んだからです。
しかし、住み継ぐ人がいなくなり、飛騨民家は1軒、また1軒と姿を消しています。
そこで、私たちはまずその実態を調査すべく、2009年10月より飛騨の民家調査とボランティア活動「飛騨民家お手入れお助け隊」を開始しました。
民家調査では3年に渡り、約1300件のお宅を訪問し、家や居住状態について調査しました。その結果、現存の伝統的民家の多くは戦前築。大型で柱や梁も今では入手不可能といえる立派な材が使用してあり、まさに文化財級のお宅が点在していることがわかりました。が、約2割は既に空家。3割は大きな家に2名以下での居住ということがデータで裏付けられました。このままいくと20年後には半数が消えて行ってしまうかもしれないのです。
私たちは1人でも多くの方と飛騨民家の素晴らしさを共有し、1軒でも多く次代につなげていきたいと思っています。
座学「ひだびとに『飛騨』を学ぶ」
飛騨で生まれ育ち、第一線でご活躍中の方々にお話いただく講演会です。2014年~2015年にかけて6回シリーズで企画しています。我々は移住者なので、飛騨のことをもっともっと知りたいと思っています。いろいろな方にお話をきくにあたり、その貴重な経験を地元の方々とも共有したい、と考えるようになりました。飛騨という場所、飛騨での暮らし、暮らす人々の素晴らしさを再認識し、暮らしや文化を守っていく気持ちになれれば。そう思って企画しています。会場にもこだわり、国指定重要文化財の吉島家住宅、国史跡の高山陣屋、酒造の食事処等、文化の感じられる施設にご協力いただき、実施しております。
回 | 日時 | 講師(敬称略)/演題 | 会場 |
1 | 2014/8/30 | 宮大工 八野明 「飛騨びとの生きた暮らし - 宮大工の心 -」 | 吉島家住宅 |
2 | 2014/9/28 | 料亭洲さき 洲岬孝雄 「食文化から見つめる飛騨高山」 | 高山陣屋 大広間 |
3 | 2014/11/09 | 寺田農園 寺田真由美 「飛騨の自然を生かした農業」 | 舩坂酒造 味の与平 |
4 | 2014/12/03 | 白川郷和田家館主 和田正人 「『結』の絆で次代へつなぐ -世界遺産白川郷」 | 高山市図書館「煥章館」 |
5 | 2014/01/25 | 筑波大学名誉教授 住斉 「DNAが明かす飛騨びとの先祖-母方は土着縄文人、父方は渡来弥生人」 | 高山陣屋 ガイダンスルーム |
6 | 2014/03/07 | 仏師 高田慈眼 「飛騨の自然と仏師の心」 | 富士屋 花筏 |