第17回 高山市丹生川町大萱内
- 開催日
- 2012年11月4日
- 参加者数:
- 13名
今年最後のお手入れお助け隊
お手入れお助け隊と言えば、高齢者を中心とした住まい手のお手伝いをすることがこれまでは比較的多かったのですが、今回は今までとは少しばかり趣向が異なります。
民家の調査活動を通じて出合った取壊し予定の築90年の古民家がありました。後継者が絶え解体予定となっていた古民家は、所有者から新たな住まい手となるAさんご夫妻が譲り受けることになり、取壊しを回避、ご夫妻は自分達で出来るところから、主に週末、少しずつ家の補修に取り組んでおられます。今回のお手入れお助け隊は、6年間空き家状態であったこの古民家に、Aさん一家が一日も早く引っ越すことが出来るようにと、補修や清掃等のお手入れお助け作業のため県内・外から頼もしい仲間達が集まりました。
高山市に移住して1.5年のAさん一家は「少し手を加えてやると見違えるように蘇るのが嬉しく、飛騨に残る立派な民家を残し次の世代に伝えていきたい」と語っています。飛騨民家の良さを知る人に住んでもらえて、この家もなんだか嬉しそうです。
お子様もお手伝い
今回はお子様を連れてご参加くださった方もいらっしゃいました。さすがに古民家のお手入れは初めての経験だったかもしれません。初めのうちは、柱や板壁を拭く手もどこかぎこちなく遠慮がちに見えていましたが、すぐにコツを覚えたようで、自ら率先してあちこちとても丁寧に拭いてくれました。中学生・小学生のこんな姿を見て、大人も奮起させられます。
まずは水拭きですが、空き家の状態が長かったため、今回はいつも以上に丁寧に拭きます。用意してあったバケツの水はみるみる真っ黒に。家のすぐそばを流れる側溝の水が十分きれいなので、水道と側溝を行ったり来たりして何度も何度もバケツの水を変え、柱や梁、床板の汚れがひととおり落ちるまで手を休めることなく拭き続けます。
水拭きの後は、荏の油や米ぬかを使って、梁や柱に油を吸わせます。長い間お手入れされていなかったせいか、すこし油をなじませてあげるだけでぐんぐん吸い込みます。何度も手を上下に動かして磨いてあげると、やがてつやつやのピカピカになって、一目見ただけで輝きを取り戻していくのが分かります。子供らも、お手入れに少し飽きたら、きれいになった床板の上を走り回ったり滑ったりして遊んでいました。囲炉裏のある部屋も、生活の場としての顔を表してきました。Aさん一家は、度々ご友人らを招いて、ここでお料理やお酒を囲む時間を楽しみにされているようです。
休憩時間は、縁側で日向ぼっこしながら家主さんを囲んで温かいお茶をいただきました。日中はひなたにいると、まだ家の中より外の方が心地よいくらいです。家主さんを囲んでしばし談笑を楽しんだ後、お手入れ再開です。
今回はまだほとんど手つかずの2階部分もお手入れします。お助け隊長自ら、2階へ続く階段を一段一段丁寧に水拭きしておりました。約3時間のお手入れ後、心地よい疲労感に包まれた参加者は、みな満足気な表情を見せてくれました。
家主さんを囲んで
お手入れの後は楽しみにしている昼食です。奥様お手製の豚汁のいい匂いが、私達の食欲を刺激します。みんなお腹ぺこぺこ、当初は囲炉裏を囲んでの昼食を予定していましたが、より暖かい縁側近くの部屋でとることにしました。豚汁の具材は、奥様のご実家で収穫されたお野菜などです。Aさんの娘さんも、好き嫌いなくお肉も野菜もきのこもパクパク食べていました。Aさんご夫妻は言います。この冬をこの家で迎えるのはまだ難しいけど、一日も早く修繕を終えて、出来れば来年の春から住めるようにしたいなぁ、と。そしてこの家に、たくさんの人が遊びに来てくれておもてなしすることが、家にもきっと喜んでもらえるし、家に対しての恩返しになるんじゃないかぁ、と。
この日お手入れさせていただいた箇所とは別に、雨漏りのため床板などがだいぶ傷んでしまっているお部屋もあるそうです。不要な畳や床板、建具などをご存じでしたら、ぜひAさん一家に譲っていただけたらと思います。Aさん一家が安心して暮らせるその日まで、私達みんなで応援し続けたいと思います。
参加者からのコメント
- 手をかけるほど家がよみがえっていくことを、ほんのひとときではありましたが、体感させていただくことができました。皆様の取り組みの意義にも、あらためて感じ入りました。機会があれば、また参加させていただきたいと思います。(40代 男性)
- こちらのお宅には、前回のお手入れお助け隊で知り合ったのがきっかけで、普段から何度も訪れて、古民家再生のお手伝いをさせていただいています。今後も引き続き応援していきたいです。(40代 男性)
- 以前、古民家に住んでいたことがあるので、懐かしい感じがします。(30代 男性)
- 大変おもしろく、素晴らしい体験になりました。里山での暮らしや、古民家調査にも興味があります。今日は参加できてとても良かったです。(20代 ノルウェー人男性)
- 前から一度参加できたらと思っていたので、この日を楽しみにしていました。小さい頃に住んでいた家は、今ではもう長い間空き家状態で基礎もだいぶ痛んでしまっています。思い出がいっぱい詰まった家、なんとか再び、利活用できないかなぁ。(30代 男性)