第15回 高山市丹生川町山口内

開催日
2012年4月8日
参加者数:
12名

今シーズン最初のお手入れお助け隊

飛騨の長くて寒い冬もようやく過ぎ去り日のものとなり、今シーズンのお手入れお助け隊もいよいよ活動開始です。シーズン最初のお助け隊には、県内・外はもちろん、国内・外、初参加・リピーターなど多様な顔ぶれが揃い、大変嬉しく頼もしい限りです。

今回は、昭和11年頃に同町内から移築され、築100年以上経った間口9間×奥行き8間、土間の広さは2間半もある二階建ての民家で、また、丹生川地域の民家の特徴のひとつでもあるしけん梁とまくら差し、えんげ、特に小座敷もみることができる貴重なお宅です。

80代の家主さんからは、永年技とされた樵のお話や古民家での暮らしを聞きながら参加者らと交流いたします。

初めての丹生川地区

真っ青な空が広がる中、快晴のもと、お手入れお助け隊活動開始です。空気が澄んでいてそれだけで大変気持ちが良く、これからみんなで過ごす時間が大変楽しみに感じられます。今回横浜から、このためだけに飛騨に来てくださった外国人の参加者の方も、飛騨に残る古民家の意匠や建築技法に大変興味があるようで、カメラ片手に興味深そうに写真をおさめています。

外はポカポカ陽気ですが、4月とは言え、家の中に入るとまだ肌寒かったりもしますが、参加者の皆さん、やる気まんまんです。家主さんのご好意でお湯を使わせていただき、水拭き用の雑巾を持つ手にも力が入ります。家主さんの意向で、「ざしきを元の姿に戻したい」ということでしたので、ざしき一面に敷かれた畳をみんなで全部はがして、板床に戻しました。家本来の美しさが益々際立ちます。

水拭き用の雑巾がみるみる長年の埃や汚れをぬぐっていき、家が呼吸をし始めるのを感じられます。皆さん、だんだん口数が減っていきます。何度も何度も雑巾を洗い直し、幾度も幾度も拭き上げた板床、柱、梁、板戸は、次に米ぬかや荏の油で磨き上げられるのを今か今かと待ちわびているかのようです。大黒柱などの大事な柱は、胡桃の実を使って磨いていきます。胡桃を割って中の実を出す作業自体、経験者は少なく、これだけとっても大変おもしろい経験になるのではないでしょうか。

私達の仕事ぶりに一念発起されたのか、家主さんもジッとしておりません。みんなの気持ちはひとつ、「家を生き返らせる」時間があっという間に過ぎていきます。

ピカピカになった板床は、今度は逆にほんの少しの塵でも目立ってしまい、参加者の中には「塵ひとつ許さないぞ」と、徹底的に磨き続けてくださる方もいました。はがしたざしきの畳も、この日は日干しするのにもってこいの天気でしたので、春の陽気の中、とても気持ちよさそうに見えました。

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お手入れ開始から約3時間後、家は見違えるように生まれ変わりました。私達の姿だけでなく、光までも反射させ、家内の空気の流れまでが変わった印象を受けました。だからでしょうか、家主さんまでなんだかすっかり元気になられたようで、「気持ちがいい!」と最高の笑顔を私達に見せてくださいました。

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お手入れの後は、お手製の豚汁を囲みながらの楽しいお昼です。みんなお腹がペコペコです。この日は家主さんお手製の甘酒まで用意されておりました。みんなでいい汗をかいた後のごはんは、どうしてこんなに美味しいのでしょう。もちろん全員おかわりです。

参加者からのコメント

  • 参加できてとても光栄。忘れられない貴重な体験だった。家の意匠が素晴らしく、アメリカでは見ることはできない。(30代 男性)
  • 板床を磨くのがこんなに楽しいとは思わなかった。癖になりそう。(30代 女性)
  • 何度も参加しているが、来る度に違う発見があり気付きがある。ありがとうございました。(30代 男性)
  • 丹生川は実家があるところ。今日参加できて色々と新しい発見があった。(30代 女性)
  • 建築士なので、飛騨の民家の意匠をこうして直に見て触れる機会を得られたのはありがたい経験だった。自然の木の形や反りをそのまま最大限に活かし、かつ計算されつくされた飛騨の匠の技には感嘆する。(40代 男性)

参加者の皆様のおかげで、最高のスタートを切ることができました。飛騨は四季折々の美しさ、食や水の豊かさも際立つ土地だと思います。ぜひまた遊びにいらしてくださいね!