第9回 飛騨市古川町数河地区
- 開催日
- 2010年11月21日
- 参加者数:
- 10名
飛騨数河でのお手入れお助け隊
今回のお手入れお助隊は、飛騨市古川町数河地区の農家民家に駆けつけました。 数河地区は古川町の中心街から富山方面に車で20分程行ったところにあり、標高約900メートルの高原地帯であるこの地域は、 夏は避暑地として多くの観光客で賑わいますが、冬の寒さは厳しく飛騨でも有数の豪雪地帯として有名です。
雪囲いのお手伝い
飛騨の豪雪地帯では、冬を迎える前に雪囲いが行なわれます。 雪囲いは2mを越えることもある積雪から家の壁を守るために行われます。 この地域で生活するには季節季節に必要な営み・作業があり、雪囲いは冬を迎えるうえでの特徴的な営みといえるでしょう。 数河地区では11月中旬から雪囲いが行なわれますが、今回のお手入れお助け隊の開催時期がちょうどその時期に重なったため、通常のお手入れ作業に加えて、棒を運んだり紐で縛りつけたりと家の人だけで行うには骨の折れる雪囲い作業も手伝わせていただくことになりました。
雪囲い作業は家のご主人の指示のもと行いました。柵は稲のはさがけ用の長い棒を使って組み立てます。はさがけとは昔ながらの稲の乾燥方法のことで、横に渡した竿棒に稲を掛けて天日乾燥させることです。稲の乾燥が終わったら竿は田んぼの横の保管されているのですが、それを冬になると雪囲いにも利用します。はさの棒が冬には別の役割に使われるというところに、限りある資源をうまく活用しながら暮らしてきた飛騨の農村の合理的な知恵が受け継がれているように感じました。
まず、そのはさの棒を濃い霧に包まれるなか、田んぼ横の保管場所からトラックに積んで運んできました。
その棒を、玄関前に等間隔に6~7本立てかけ固定していきます。その後、縦に立てかけた棒に横に棒を固定していくのですが、ご主人はその直角に交わった部分を一本の細いロープで、一巻きごとに強く引き締めながら結んでいきました。簡単そうに結んでいるように見えましたが、3~4メートルある結構な重さの棒をずれ落ちないようにしっかりと固定するその縛り方というところにも、飛騨の農村の暮らしの知恵を感じました。
重い棒を持ちあげ何本も縛りあげるというなかなか大変な作業ではありましたが、今回2回目の参加である下呂市の大工さんの活躍もあり無事、柵の設置をすることが出来ました。あとはこれに波トタンをかければ雪囲いの完成となりますが、今回は時間の都合上、ここまでの作業で終了となりました。
家の中の柱・梁磨き等の作業も、今回は女性たちにも脚立の足場の上にのぼって奇麗に磨きあげてもらい、作業後は家主さんを囲んでの昼食、そして最後に全員での記念撮影をして本日の作業を終了しました。
参加者からのコメント
- とてもいい体験をさせて頂きました。また、色々な地域からみえた方々とも知り合えることができ、多くのお話ができて刺激的でした。 私自身、「古民家」に憧れがあるだけで何も知らないということを痛感致しました。また何かお手伝いができることがありましたら声を掛けてください。(20代 女性 高山市)
- 古民家のお手入れをはじめ、飛騨高山での旅を満喫して、東京に戻って参りました。 昔ながらの方法でお手入れをしたり、実際に住んでいる方のお話を伺ったりと、そこに赴くことでしか味わえない貴重な体験をすることができました。 初めてお会いする方々との作業も、とても新鮮で、楽しかったです。美ら地球の皆さん、本当にありがとうございました。 また、飛騨に伺いたいと思います。(20代 女性 東京都)
- 先日は大変お世話になりました!貴重な体験ができて、とても良い思い出になりました。ありがとうございました。 機会がありましたら是非また参加したいと思っています!そのときは宜しくお願い致します。(20代 女性 愛知県)
- 仕事が大工なので、昔の仕事が間近に見ることが出来て良かったです。 今はプレカット(機械加工されている木材)ばかりですが、昔はすべて手作業で大変だったなと思います。 また、次回以降是非参加させてもらいたいと思います。(40代 男性 下呂市)
- 古民家の掃除でも今まで自分が知っているのとは違う方法で掃除をしたり、 地元の方と話したりするのはとても貴重な体験でした。 参加者が色々な興味をもって飛騨にわざわざ来てくださったのに驚きました。 非常にいい影響を受けました。(20代 女性 高山市)
家主さんからのコメント
人も少なくなり、若者もいなくなって自分も歳を取ってくると、なかなかしっかりとした手入れが出来なくなってしまいました。多くの若い方が集まって下さり、ここまで奇麗にしてもらって本当にありがとうございました。
今後へ向けて
今回参加された方から、お助け隊の運営に関して貴重なご意見を頂きました。 一つ一つ吟味させていただき、取り入れられるものは次回から積極的に取り入れていきたいと思います。
参加者に作業終了後に簡単なアンケートをお願いするのもいいかもしれないですね。
古民家の受入れ側のアンケートを取ったほうがいいのではないでしょうか。
次回から、参加者にアンケートをお願いしてお助け隊のサービス向上につなげていきます。 また、今までお手入れをさせていただいた受入側の家に対しては、ヒアリングリストを持参し、お手入れ後の感想、要望などを拾い上げていきます。
何故、クルミを使うのか、あぶらえをつかうのか、米ぬかを使うのか、それぞれの役割などがよくわからないままでした。
時間を作って参加者に使用するクルミを見せたり、米ぬかを使うのなら、まず米ぬかってどこの部分なのかなど細かい説明があると、 地元以外から参加されている方もより楽しめたのではないかと思います。
我々スタッフにとって毎回の作業が当たり前のものになってしまい、それぞれの作業に特に疑問を持たなくなってしまっていたことに気付かされました。 もう一度初めて参加される方の立場に立って見直していきたいと思います。 そのために、昔ながらの方法でお手入れをされている家を再度訪問し、それぞれの材料と磨く場所の関係性をまとめ、次回からは作業前にそれぞれの役割を説明することにしました。
参加者の送迎についてですが、スタッフで送迎をする必要があるのではないでしょうか?他の参加者に頼んでもいいとは思うのですが、すこし気になったので。
原則として、お手入れ先へは現地集合でお願いしたいと思います。ただ、車をお持ちでないとアクセスが困難な場所もありますので、その際はご相談下さい。